
ビートを強調するということは、ドラムやベースなどのリズムセクションを中心に組み立てるわけです。
ということは、必然的に指揮も、まずはリズムセクションに合わせた指揮を考えることが、第一歩となります。
リズムセクションにわかりやすい指揮=より明確に刻む、ということになります。
ジャズの大編成であるビッグバンドには指揮者がいないことが多いのですが、指揮者がいる場合、
より明確にユニゾンの出だしやアクセントを統一させるためのキュー出しが重要な仕事であって、
テンポキープはあくまでリズムセクションに主導権があります。
吹奏楽にもこのやり方をある程度あてはめて考えるとよいでしょう。
ここで、刻み方に関して、リズムの種類を整理してみます。
大きくわけると、3つ。
1つは、ジャズ。2つは、ポップス。最後はラテンです。
それぞれは、少しずつ違う要素を持っています。
まず、ジャズ系の音楽ですが、「アフター・ビートの強調」が大きな特徴です。
(4拍子の2拍目と4拍目を強調することを意味します)
これが基本です。
指揮を振るにあたっては、まず細かく刻むことが大事で、特に2、4拍目を強く刻みます。
よく、頑張って大きく振る人を見受けますが、刻むことを第一に考えると、
小刻みに振る方が、テンポ感は安定します。
(意外に小さく振っても、刻みはプレイヤーには伝わるので大丈夫)
また前述の通り、リズムセクションに主導権をある程度与えると、大振りの指揮は邪魔です。
次に、ジャズはその基本ビートをベースに、本来のビートの位置から音を
前後にずらす、いわゆるシンコペーションやアンチシベーションを多用します。
指揮では、それを明確にQを出すことによって、躍動感を作ることが出来ます。
(ちなみに、アンチシベーションはシンコペーションの逆です)
次に、ポップスですが、ポップスは8ビートや16ビートなどのロックンポップス(造語)
が、吹奏楽では主流ですね。
確実に、4拍子の1、3拍を刻んでいきます。
指揮はテンポをキープさせる意識で。テンポの変わり目(Ritなども含む)やグランディオーソなどは、
視覚的なものを意識して、大きめに振ったり拍を分割したりするのも楽しいものです。
ちょっとやっかいなのは、ラテンです。
いろんなバンドの演奏を聞いてますが、違和感を覚える指揮をよく見受けます。
何故かなと考えるに...
例えば、ラテン音楽の中でももっともポピュラーな「サルサ」ですが、
基本的なリズムパターンは、
「うん パン パン うん パン う パン う パン」
(うん=四分休符、う=八分休符、パン=四分音符)
です。
小節数に直すと、2小節で一つの塊となります。
ラテン音楽は、2小節で一つのリズムパターンを形成してるものが多いのです。
意外にも、理解はしているはずなのに、指揮を振ると1小節きっちり 区切って振る人が多いですね。
でも、それでは本来のリズムを指揮によって視覚的に分断していることになってしまします。
また、ラテン系音楽は、「サンバ」「マンボ」「チャチャ」「ルンバ」など、
吹奏楽でもいろんなリズムパターンの曲がアレンジされていますね。
では、そのリズムパターンを全て覚えなくてはならないか?
否、そんなことはないんです。
ここで、改めて注目すべきはリズムセクション。
パーカッションのリズムパターンをスコアで見てみましょう。
吹奏楽の譜面では、御丁寧にアクセントの記号が、規則正しくふってあります。
そうです、それが、その曲の「ビート」なのです。
それにあわせて指揮にもアクセントをつけると、プレイヤーにとっても、また聴衆にとっても、
心地よいリズムとして感じるのではないでしょうか?
もちろん、初めの方にも書きましたが、大振りをする必要はありません。
ポップスの指揮では、「振る」ということよりも、「刻む」ということが大事なのですから。
さて、ビートを如何に指揮で表現するかですが。
まずは、思い浮かべてほしいことがあります。
例えば、ロックバンドのコンサートに行ったとしましょう。
コンサートが始まりました。お客さんは、総立ちです。
イントロが流れます。アップテンポの軽快な曲です。
....さて、総立ちのお客さんは、どんな動作をしていますか?
身体を上下に動かして、首を刻みながら、そのリズムに一体となろうとします。
そう、それは、リズムにのることの自然な動作なんですね。
そしてお客さんのその動きが、演奏(歌う)してる側にも伝わります。
コンサートで一体感を味わうというのは、「ビートの共有」を楽しんでるわけです。
では、吹奏楽ポップスで、指揮はどうするのか?
まず、リズムにのる動作をしてみましょう。
コンサートのお客さんの動きでいいんです。
ただし、あまりだらだらとした動きにならないように。
あくまで指揮者は「ビジュアル系」ですから。
次に、手の動作ですが。
指揮法をかじった方は、ちょっとそれから離れて下さい。
小学校でよくやった、「小さく前にならえ」をします。
次に、締めている脇を少し開きます。
それで、ビートを刻んでみましょう。
....と、ここで問題が出るはずです。
身体を上下に動かすのは、刻むことに障害となるはずです。
そして、ここでプレイヤーの立場に立った時、上下の動作は邪魔です。
踏み込む場所や、tutti でダイナミクスよろしく攻める場所など、
そういった要所要所を除いて、少し控えめにすると良いかなと思います。
これで、ポップス指揮の基本型になったのではないでしょうか?